先日、足利市議会議員の先生方と意見を交換できる場に出席しました。幼稚園および幼児教育に関する実情と今後の市政に関する考え方について意見を交わしました。

 私の主張は簡単です。市の力は人口に比例します。今や少子高齢化社会。足利市においても出生者数はどんどん減って、人口も減少しています。この数字を上向きにするには、とてつもなく長い時間と、国における根本的な制度の再構築が必要となります。国が動くのを待っていては遅い。今すぐ手をつけられる所から始める必要がある、と言う考えです。

 この種の政策は、具体的な方法がないと効果をあげることはできません。「2030年までに何々を何パーセントに引き上げるよう努力する」なんて目標はないのと同じ。具体的な方法を示す必要があります。

 私は、「若い人が移り住みたい町」にすることこそ問題解決の糸口だと思っています。つまり、若い世代・子育て真っ最中の世代が「足利に住みたいなあ」と思えるような、他の近隣市町村がやっていないような政策を、いち早く導入し、それをアピールすることだと思っています。出生率・出生者数など、自然増が難しいなら「社会増」(移り住む人を多くする政策)を考えるべきでしょう、というのが主張です。中世ヨーロッパなどは当時の乳幼児死亡率が高かったため、流入人口を増やす政策をとっていました。「1年と3日、市内に住んだ者には市民権を与える」などと言う政策です。これをやりましょうよ、という提案です。

 もっと具体的な話をすれば、
①家を建てやすくする事です。建ぺい率・容積率の緩和。市街化調整区域の撤廃。変な条例による不要とも思える工事の廃止。これらによって、家や工場などが安く建てられる環境を整えるのです。私がこの幼稚園を建てた時、あまりにも規制が多く、あれもつけろ・これもやれ。そうしないとハンコを押さないですよ、との「指導」ばかり。お隣の群馬に比べ、規制が厳しすぎるのです。建築指導課とは名ばかり。「建築阻害課」に看板をかけかえたら?って思っちゃいました。
 これでは家も建たないし、他県から工場が進出するはずもありません。わざわざ市の費用をかけて、工業団地を造らなくても議会で建築条件を緩和する、という議決さえすればいいのです。お金はかからない。何でそこまで厳しくするのか、百害あって一利なし。何を考えているのか分かりません。
 優良な土地を増やせば家が建てやすくなります。企業の方から足利に来てくれます。最初の数年、少し市の税金を安くしても、従業員の方の住民税は市に入りますから、絶対に「やって損はない」はず。期待しています。

②子育て世代に優しい町づくり。私たち、認定こども園では「新2号」という制度を使えば(上限はありますが)預かり保育の保育料を補助してもらえ、実質無料になる制度があります。ですが、一度預かり保育料を払い、申請書を出して、後日市からお金が戻ってくる、という償還払いになっています。これを書類だけでやりとりし、実際にお金が動かなくても良いようにすれば、今より数段使いやすくなります。
 似たような制度で、乳幼児の医療費、窓口無償化というお願いを20年以上やって、やっと実現した事がありますが、これより数段簡単な事だと思っています。なぜなら、市の負担がないからです。
 乳幼児医療費は、保護者が市に申請する必要があり、わざわざ数百円のために、半日有休を使って申請に行くのが面倒。これ位ならいいや、という人もいました。平均すると20%くらいの金額が申請されないらしいです。ですが、窓口無償化をすれば、100%申請があがってくる。窓口無償化をやっている所は100%。やっていない所は80%の申請。これは不公平になるので、窓口無償化をやっている市に対しては、国は保険料全額還付でなく、20%減額した金額を還付する。つまり、市の負担が増えるので、おいそれと窓口無償化はできないよ、というのが理由でした。
 でも、預かり保育の料金は100%国から補助が出るはずです。市の財政的負担はないはずなので、やる気になればできるでしょ?と提案しました。

 議員さんの中で、これはぜひ推進していきたい、という方もいらっしゃいましたので、こちらもちょっと期待しています。

③給食費 認定こども園は、乳児から預かるので給食が「必須」になっているのですが、その給食費は曖昧な部分があります。0歳から2歳の乳児は、保育料の中に給食費が含まれています。3歳以上になると、幼児教育無償化ですので、保育料は無料となります。ですが給食費は自己負担、という事になっています。保育料だけでなく、給食費も無償化にならないか、というのが私の考えです。ですが国は「食べて自分の胃袋に入ってしまうものまで無償化はできない」という理由で給食費の無償化には及び腰です。

 他の市町村でやっていない事を、いち早く行えば注目度抜群。「足利に行けば給食費は無料になるってよ!」という口コミが広がる事で、足利に移り住む人も多くなると考えます。ですが給食費は幼稚園だけでなく義務教育まで含め、対応しないといけません。莫大な予算を必要とします。ですから、市の出せる範囲で、例えば「月額3000円の補助」「半額補助」でもいいのです。他がやっていない事をやるからインパクトがある。ぜひお願いしたい、という事を伝えておきました。

足利は近隣市町村に比べると歴史・文化においては追随を許さないものを持っています。ブランド力が違います。ちょっと考え方を変えるだけで、県内2位の地位に返り咲く事だって、不可能ではない。2位は無理でも3位にはなれるはず。足利市議会の先生方、よろしくお願いします。