過日、東京にて「保育博」というイベントが開催されました。保育関係の業者さんがブースを作り、来場者に自社の製品をアピールする場なのですが、これに合わせ、様々な講演会も企画されていました。ちょっと興味のある研修会があったので、勉強してきました。

いくつか気になる講演を聞きましたが、共通している事は、今までの常識と思われる「定説」が常識じゃなくなってますよ、という事です。例えば出生率だって、ここまで下がるとはだれも思っていなかったはず。1990年代の厚生省予想では(低位推計ですら)出生率1,4を底に、ゆるやかな回復を見せる「はず」だったのに、現実は違います。下がる一方です。

 日本の場合、総人口が減っている。しかも少子高齢化社会に突入しています。保育業界と言う視点で見ると、今後幼児人口が増える見込みは少ない、と言う事ができます。そこで効果的な方法は何があるか、という話題になるのですが…。

 このような状態である事を承知の上で、幼稚園の「内容」を伝える姿勢は必要じゃないか、と思いました。「園児募集」ではなく、私の園はこう言う内容です、という事を知らせるための「紹介」は必要じゃないか、と思っています。だって幼稚園は私学なのですから、各園それぞれ保育目標も保育内容も違う。その内容を紹介し、最も自分にあった園に願書を出せる「お手伝い」はするべきだ、と思うのです。無理に合わない園に行く必要はないと考えます。「小学校は選べないけど、幼稚園は選べます」そこが幼稚園の強みじゃないか、と思っています。

ある保育園の先生、教育・福祉の施設が広告を出すのはおかしいんじゃないか、と言う事をおっしゃっていましたが、宣伝のための広告と考えるからおかしいのであって、ミスマッチを防ぐ意味からも「私の園はこんな園です」という紹介はしなければいけないだろう、と思います。

ある講師の先生、タクシーの「ご自由にお持ち下さい」の広告ではないですが、「痩せたくない人は見ないで下さい」とか、「ハゲは95%治ります」みたいな広告、幼稚園でもやっていませんか?という指摘がありました。(さすがにこれは時代遅れですね)

ただ、園児がいなければ幼稚園は成り立たないのですが、園児募集のための広告を考えるのではなく、「わが園は、こんな子どもを育てたいと思い、保育内容の充実に努めています」という保育内容の説明は今まで以上に行う必要があると思いました。
昔の話ですが、ある研修会の講師だったコンサルタント会社の方が、幼稚園はガソリンスタンドに似ています。ガソリンを売るだけでなく、洗車・窓ふきに始まる車のトータルサービスを行っています、って言うけど、全てのスタンド、大差ないでしょ?どこのスタンドでもやってますよね?そうなるとガソリンが1円でも安い事が差別化につながる、という事を言っていました。うーん、もう少し内容のある「たとえ」を出せなかったものか、と思った記憶があります。だって教育って物の売り買いではないんですから。その違いを理解していないとね、って思いました。

これは例外としても、単に良い保育をしています、だけでなく何が良い保育なのか。それをどうやって保護者に伝えるのか。(一般企業では「顧客満足度」と呼ぶようです)そこは行う必要があると思っています。それが教育機関としての使命じゃないでしょうか。

その意味で、私たち旭幼稚園が目指している保育というものは何か。それをどう「見える」形としていくのか。非常に考えさせられる研修会でした。本当に勉強になりました。頑張ります。