今日、大泉保育福祉専門学校の補講があり、行ってきました。帰ったら机の上に業界紙が置かれていて、その特集に「幼小連携」についての特集記事がありました。内容を簡単にご紹介すると、「幼・保・小のスムーズな接続へ、第一歩は相互理解から」というものです。私、個人的にこれは難しいと思っています。

 幼小連携なんて私が幼稚園に就職した頃から、いろいろな取り組みをやっています。私の知る限り、昭和の時代からなので45年はやっています。それなのに、平成・令和と時代は変わっても、いまだに「相互理解」とか「幼少の連携」などと言う事が提言される。つまり、「できていない」という事です。

 連携が取れていない最大の原因は、幼稚園は「伸びた点を認める」というプラスの教育であるのに対し、小学校以上は「100点満点から何点足りないか」というマイナスの教育であるからです。つまり教育要領で求められているものが違う。だから教育というものに対する考え方が違う。考え方が違うものだから、理解はできても同じ土俵にあがるのは難しいのではないか、というのが理由です。

 幼稚園の教育は、4月当初から、これだけ頑張って、これだけ伸びた、という点を評価します。つまり4月に40点だったとしても、頑張って・努力して70点になった。「30点伸びたね」「ここまで伸びるってすごいね」というプラスになった30点を評価をします。
 ところが小学校以上は100点満点に対して「これだけできていません」というマイナス評価をします。つまり4月から全く伸びていなくても(4月より劣っていたとしても)頑張って40点を70点にまで押し上げた子どもより4月に90点だったのに、3月は85点だった子どもの方が高い評価になる、という事になってしまいます。

 最近私がよく使う例なのですが、オリンピックっでは100メートルを10秒で走れる人もいる。東京大学に合格する人もいる。だから、あなたもここまで伸びる可能性があるから、頑張りなさい。そう言っているような気もするのです。可能性はありますが、ちょっと無理な場合も多いように思います。それよりも頑張った所を認め、評価してあげる事の方が重要ではないか?これが私の考えです。

 小学校の通信簿にも成績だけでなく、努力した部分に「〇」印をつけているようですが、やはり「5段階評価」の方に目が行きがち。その5段階評価もクラスの相対的な部分も影響しますから、学力の高い子どもが集まっているクラスだと評価がきつくなる傾向があります。そう考えると、小学校以上の教育より幼稚園の方が子どもに寄り添った評価をしているような気がします。

 私、20年ほど前に足利市で「双葉學園として私立小学校ができないものか」と考えた事があります。ある研修会で、文部科学省の方にお伺いしたところ、上の学校が下の学校を作る事はできるけれど、逆はできない、と言われました。つまり、大学を持っている学校法人は高校・中学・小学校・幼稚園をたてることはできるけれど、幼稚園が小学校を持つことはできないらしいのです。この事を、県の幼稚園連合会、青年部で話したところ、県北の幼稚園の先生、なんと幼児教育を主とする大学を作りたいと実際に動いてみた、というのです。結果は私の時と同じで無理だという事がわかった、という事でした。(何か違うような気がします)

 教育とは何か。私は幼児期からの「積み上げ」ではないか、と思っています。そうなると幼児期の体験、保育の質が一番重要で、その体験を基に、年齢に応じた知識・技術を会得していく。そして、その人の特異な分野を伸ばしてあげる事が重要ではないか、と思うのです。
例えば英語に興味があって頑張ったら英語100点、でも国語は頑張ったけど50点。それでもいいじゃないか。努力はしたけど40点を50点にあげるのが精一杯なら、その頑張った10点を認めてあげる。そして90点を100点に押し上げた英語も、同じように認めてあげられる社会が来ないと、永遠に「幼小連携」はできないのでは?と思っています。