最近、園内の研修体制について、どうあるべきか、と言う議論が活発になっています。
 私自身のお話をすると、私は幼児教育を専門で学んだ訳ではないので、幼稚園に関しては確たるものを持っていませんでした。そこで、県の連合会から来た研修案内、現場の先生向け、事務さん向けのもの、園長設置者向けのもの、時間があればとにかく参加してみました。今と違って書類も県から来た報告書を、月に2~3枚回答する事と、毎日の会計処理で事足りる時代でしたので、研修に行ける時間が多くとれたからこそ出来た事だと思っています。

 現場の先生向け研修では、保育経験なんてそんなに多くないものの、(男性が混じって必ず意見を求められるという事もあり)わからないながらに発言したり(させられたり)と、イジられながら勉強してきました。紙芝居のやり方から、法令・帳簿の付け方まで、幅広く勉強させていただきました。

 その中で「これはいいな」と思うもの、沢山出会いました。よく考えてみれば、普通の幼稚園の普通の保育。研修会で取り上げられる事は少なく、だいたい特別な事をやっている園が意見発表なりする訳です。ですが、あまりにも飛んでいる活動・保育もあり、そのままの形では旭幼稚園のやり方では難しいものも多くありました。

 その後「形は真似しなくても、その精神(考え方)は取り入れられる事もあるんじゃないか?」と思い、その方法を模索した時期もありました。でも、面白いもので、研修当日は「実に素晴らしい!旭幼稚園も取り入れたい!」って思っていた事も、2週間たつと記憶が薄くなり、2ケ月もたつと忘れているものが多い事に気づきました。それって、その時は目新しいから見ているのであって、本当に取り入れるべき内容ではなかった。旭幼稚園には取り入れるべき活動ではなかった、という事になります。

 一例です。ある園では園児の活動の様子を細かくメモにとり、毎日連絡帳に書いている。保護者の方からも「園の様子が手に取るようにわかって良い」と好評だ、という話を聞きました。たしかに園で行った内容を伝えるのは良い事だなあ、と思いましたが、よくよく考えてみれば、クラス全員の連絡帳を書くとなると、多くの時間を必要とします。園の日誌もあります。明日の保育の準備もあります。それだけでも大変なのに、クラス全員の連絡帳記入。きっと残業になってしまうだろう。そして(ここが一番重要なのですが)クラス担任の仕事は連絡帳を書く事ではない。保育をする事だと思います。先ずきっちりとした保育。子ども一人一人に寄り添う保育。子どものつぶやきを聞き逃さない保育。これができている事が「保育のお仕事」だと思うのです。連絡帳に書く事が主になっているようで、結局旭幼稚園では「何かあった時は、電話で連絡」という事になりました。

  これと同じなのですが、特に研修に行った先生は、その結果を皆さんの前で報告するような事も多々ありますが、やはり目立つところ、表面的な所が多く語られ、「なぜその活動・保育形態をとっているのか」という部分まで掘り下げる事は難しいなあ、と思っています。

  そこで、旭幼稚園の園内研修では、このような場合「素晴らしい保育でした」で終わらせるのでなく、「わが園に取り入れられるとしたら、どの部分か?」という点を私が質問したり、「なぜ、そのような保育をするようになったのか」等々の「根っこ」の部分を話し合う事が多くなりました。

 私どもの幼稚園は私学です。建学の精神に基づき、それを学校教育法・認定こども園保育・教育要領に照らし、どう具体的な活動に降ろしていくか。そこを協議するようにしています。

  この方式、とても有益な話し合いになると思っていますが、欠点は「園長がしゃべりすぎる事」。ここは改善を要する部分かな?と思っています。