皆さんもご存知のように子ども家庭庁の創設が議論されています。子ども・子育て、幼児教育に関する関心が高まるのは良い事ですが、しっかりした議論が必要で、あまりにも早急な創設はいかがなものか、とも思っています。

 この背景には出生者数の減少に伴う総人口の減少。これに伴う労働人口の減少と、それによる経済の停滞をどう乗り越えるか、という問題が背景にあるかと思います。「出生率」と「出生者数」は似て非なるものであり、私たちにしてみれば「出生率」よりも「出生者数」の方が重要です。「率」とは分子と分母により、大きく変わってくる「数字」なのですが、「数」は実数ですので、こちらの方が園運営にしても、労働人口にしても、直結する事になります。
その出生者数もコロナ過の中、80万人を割り込むのではないか?とまで言われていましたが、なんとか86万5239人になったようです。

 そんな前提の元、子ども家庭庁の創設に戻りますが認定こども園という制度ができた時のお話をさせていただきます。認定こども園は幼稚園と保育所を統合する事で、全ての子どもと保護者に教育と福祉を提供する、という「タテマエ」ですが、実際は保育所が不足し、幼稚園が余っているのだから幼保を一体化したら保育所不足が解消できるじゃないか、という「目論見」があった事はいなめません。ある意味、妥協の産物です。ところが書類は今まで通り「保育園に関する部分は厚生労働省」「幼稚園に関する部分は文部科学省」「認定こども園に関する部分は内閣府」と3つの書類が必要になってきました。一元化のはずが三元化になってしまったのです。
  これが今度、こども家庭庁が創設されるとなると、今までの省庁や制度はそのまま残り、新たにこども家庭庁にも書類や報告書を提出する事になるのか、と思うと事務が今まで以上に煩雑になる。もうこれ以上の書類は勘弁して欲しい、というのが本音です。

  私、前々から園に関するビッグデーターをどこかの省庁が一括管理して、園の同意があれば、そのデーターを各省庁に提供できる、という制度にできないものか、と思っていました。各省庁から来る報告書、だいたい同じなのですが、必ず「ほんのちょっと」違う項目があるため、前に作った書類をコピーして使うと言う事ができないのです。(ある意味いじわるです)
  そして、それを確認するための再計算をやる県庁だって大変です。「前回提出いただいた書類と、今回提出いただいた数字が違っています。どちらが正しいのですか?」という確認をいただく事もあるのですが、毎回計算していると、どうしてもミスを誘発しやすい。ビッグデーターの流用なら、最初の報告が間違っていない限り数字が間違うはずはない。しかも必要な数字が瞬時にまとまる。県庁と言う行政機関を廃止しても大丈夫なんじゃないか、とも思っています。

こども家庭庁、総論では賛成なのですが、幼稚園・保育所・子育て支援に関する事項、全て権限も予算も移譲していただき、報告書は1本で全て事たるようにしていただければ、と思っています。このままだと園長・副園長と事務さんが疲弊して倒れちゃいます。園長暗殺計画を阻止するためにも、行政の一本化を希望する次第です。