先日、保育にかかわる諸問題について、私見を述べさせていただきました。その後も不適切対応の報道が続発しています。ネットの書き込みを見ていると「保育士免許をはく奪すべき」「これは氷山の一角。全ての園を総点検・抜き打ち監査して徹底的に調査すべき」「監視カメラの設置を義務付けるべき」等々、過激な意見が飛び交っています。その中で「このような事件が起きるのは、先生に余裕がないから。もっと人を増やすべき」という意見がありました。園を経営する立場から言えば、言いたい事はよくわかりますが、非常に難しいです。だって園児の数と園児の年齢によって、市を通して支給される運営費は決まっています。その中から、先生方の給与を支払う訳です。園児数は変わらないのに、先生の数を増やせば、先生1人当たりの給与をアップするのは厳しくなってきます。
次に「先生の仕事が多すぎる。もっと簡略化すべき」という意見がありますが、大切なお子様をお預かりする立場から言えば「先生が休憩中でしたから、事故が起きても仕方ありませんよね」とは言えない。朝、登園した時と同じ状態で、お迎えの保護者の方にお返しするのが私たちの仕事です。そして、単に預かっていればいいのではなく、幼児集団の中で様々な経験を積めるように配慮する。そのために旭幼稚園でも主任会議、月案会議、行事の計画やら反省会やら、多くの打ち合わせを行います。そうしないと保育が実のあるものになりません。そうなると、今の状態では「削る所がほとんどない」という状態になります。パートの先生を増やしたとしても、パートの先生と担任の先生、うまく「引継ぎ」ができるのか、という問題も出てきます。難しいです。
次の意見として「配置基準が70年も変わらないのはおかしい。20人、30人を一人の先生が見るなんて所詮無理ですよ」という意見もあります。じゃあ、現在の基準を改めて0歳児2人に一人、1歳2歳は4人に一人。3歳児は15人に一人。4歳5歳児は20人に一人。このように保育士配置基準を改定すれば問題は解決するのか、という事です。実際、これをやったとしましょう。今ですら保育士が不足しているのに、ここで配置基準を改定したら保育士不足に拍車がかかります。園児はいても見る人がいない。配置基準を守れず、在籍していながら登園を断られる方が出てしまう。これが心配です。
次に、年中年長も20人で1クラスにしたとしましょう。保育室に余裕のある園は少ないはずです。保育室が足りなくなる事も想定できます。多額の助成金を出して、保育室を増設するよう働きかけたとしましょう。ですが、保育室を増設したため、園庭が極端に小さくなり、設置基準を満たさなくなったため、幼稚園の認可を取り消される所が出てこないか。それも心配です。
この問題、単に「保育士の数を増やせ」「賃金をあげろ」「1クラスの人数を少なくしろ」という単純な問題ではないのです。様々な法律、様々な規制があって、その中で網の目をくぐるように、今の基準の中でできる最大限の保育をやっているのに、ひとつ条件が変わるだけで混乱が起きてしまいます。そこまでわかっている方は、ネットに過激な意見を投稿する方のような無責任な書き込みはしないと思います。でも、どこかで、何らしかの手を打つ必要はあると思うのです。
ひとつの方法として、0歳から2歳の乳児を、家庭で保育される方には運営費補助金と同額を「子育て支援金」として給付する。母親としては「給付金をもらって自分で子育てする」のか、それとも「給付金をもらわず、保育施設に預ける事」を選択するか、どちらかを選べるようにすべきだ、という意見があった事を覚えています。
多分、10年以上前だったと思います。まだ認定こども園という制度を国が考え始めている、といううわさ話が流れてきた頃の幼稚園園長設置者全国大会のバス討議で、このような提案をされた園長先生(多分、私より若い方だったと思います)がいらっしゃいました。
この意見は、かなり大胆な発想ですが、これ位やらないと、今の現状(問題)は解決しないと思っています。
たしかに保育士の給与を上げる事により、より多くの方々が保育の道を志すようになる可能性はあるでしょう。それによって、保育の質があがっていく可能性もあるでしょう。ですが、これで増えた学生さんも配置基準を見直す事で、帳消し。またまた保育者不足に陥る悪循環にならないか。これも心配です。
旭幼稚園は全クラス複数担任にしています。そればかりか、主任級の先生はクラス担任を兼任せず、体調不良や家の都合で休みを取る先生が出た場合でも対応できるようにしています。看護師さんも常駐しています。そしてなにより、明るく子どもと保育が大好きな、素晴らしい先生方が揃っていると思っています。でも、今が限界でしょう。保育の「質」を維持しつつ、より理想に近い形を造る。言葉で言えば簡単ですが、現実は厳しいと言わざるを得ません。一気に解決は無理ですが、ひとつひとつの園が、「今の私の園で出来る事」を地道に行っていくのが最良の方法ではないかと思っています。
次に「先生の仕事が多すぎる。もっと簡略化すべき」という意見がありますが、大切なお子様をお預かりする立場から言えば「先生が休憩中でしたから、事故が起きても仕方ありませんよね」とは言えない。朝、登園した時と同じ状態で、お迎えの保護者の方にお返しするのが私たちの仕事です。そして、単に預かっていればいいのではなく、幼児集団の中で様々な経験を積めるように配慮する。そのために旭幼稚園でも主任会議、月案会議、行事の計画やら反省会やら、多くの打ち合わせを行います。そうしないと保育が実のあるものになりません。そうなると、今の状態では「削る所がほとんどない」という状態になります。パートの先生を増やしたとしても、パートの先生と担任の先生、うまく「引継ぎ」ができるのか、という問題も出てきます。難しいです。
次の意見として「配置基準が70年も変わらないのはおかしい。20人、30人を一人の先生が見るなんて所詮無理ですよ」という意見もあります。じゃあ、現在の基準を改めて0歳児2人に一人、1歳2歳は4人に一人。3歳児は15人に一人。4歳5歳児は20人に一人。このように保育士配置基準を改定すれば問題は解決するのか、という事です。実際、これをやったとしましょう。今ですら保育士が不足しているのに、ここで配置基準を改定したら保育士不足に拍車がかかります。園児はいても見る人がいない。配置基準を守れず、在籍していながら登園を断られる方が出てしまう。これが心配です。
次に、年中年長も20人で1クラスにしたとしましょう。保育室に余裕のある園は少ないはずです。保育室が足りなくなる事も想定できます。多額の助成金を出して、保育室を増設するよう働きかけたとしましょう。ですが、保育室を増設したため、園庭が極端に小さくなり、設置基準を満たさなくなったため、幼稚園の認可を取り消される所が出てこないか。それも心配です。
この問題、単に「保育士の数を増やせ」「賃金をあげろ」「1クラスの人数を少なくしろ」という単純な問題ではないのです。様々な法律、様々な規制があって、その中で網の目をくぐるように、今の基準の中でできる最大限の保育をやっているのに、ひとつ条件が変わるだけで混乱が起きてしまいます。そこまでわかっている方は、ネットに過激な意見を投稿する方のような無責任な書き込みはしないと思います。でも、どこかで、何らしかの手を打つ必要はあると思うのです。
ひとつの方法として、0歳から2歳の乳児を、家庭で保育される方には運営費補助金と同額を「子育て支援金」として給付する。母親としては「給付金をもらって自分で子育てする」のか、それとも「給付金をもらわず、保育施設に預ける事」を選択するか、どちらかを選べるようにすべきだ、という意見があった事を覚えています。
多分、10年以上前だったと思います。まだ認定こども園という制度を国が考え始めている、といううわさ話が流れてきた頃の幼稚園園長設置者全国大会のバス討議で、このような提案をされた園長先生(多分、私より若い方だったと思います)がいらっしゃいました。
この意見は、かなり大胆な発想ですが、これ位やらないと、今の現状(問題)は解決しないと思っています。
たしかに保育士の給与を上げる事により、より多くの方々が保育の道を志すようになる可能性はあるでしょう。それによって、保育の質があがっていく可能性もあるでしょう。ですが、これで増えた学生さんも配置基準を見直す事で、帳消し。またまた保育者不足に陥る悪循環にならないか。これも心配です。
旭幼稚園は全クラス複数担任にしています。そればかりか、主任級の先生はクラス担任を兼任せず、体調不良や家の都合で休みを取る先生が出た場合でも対応できるようにしています。看護師さんも常駐しています。そしてなにより、明るく子どもと保育が大好きな、素晴らしい先生方が揃っていると思っています。でも、今が限界でしょう。保育の「質」を維持しつつ、より理想に近い形を造る。言葉で言えば簡単ですが、現実は厳しいと言わざるを得ません。一気に解決は無理ですが、ひとつひとつの園が、「今の私の園で出来る事」を地道に行っていくのが最良の方法ではないかと思っています。
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