8月22日より宇都宮市、ライトキューブ宇都宮をメイン会場に、第70回栃木県幼稚園教育研究大会が開催されました。22日は全体会。23日から25日が分科会、といった内容です。分科会が3日となったのは、栃木県内の幼稚園も認定こども園が多くなりました。認定こども園は認可幼稚園でもあり、認可保育園でもあります。認可保育園は、日曜祭日、年末年始以外は保育を行わないといけません。園が開いていると、当然園児さんが登園する訳です。受入れしている以上、必要な人員は配置しないといけない。幼稚園の園児さんは夏休みですので、交代で研修会に参加してもらうため、分散して出席できるように、という配慮(だと思います)。

  さて、私は栃木県幼稚園連合会の教育研究専門委員という役を拝命しております。この県大会にあたっては、分科会で何をやるか。誰を講師にお願いするか等々、細々とした所までを担当しております。約1年前から準備に入っています。今回は「リトミック再考」というテーマを企画しました。

  皆さん、リトミックってご存知ですか?名前だけは聞いた事がある、という方も多いと思いますが、スイスの音楽教育家、ジャック・ダルクローズさんという方が考案したものです。ダルクローズさん、音楽大学で学生を教えている時に、「ソルフュージュ」「即興演奏」そして「リトミック」を柱に据えて、教育されていました。
 リトミックとは一般的には先生が演奏するピアノに合わせて、子ども達が自由に動く、ダンスのようなもの、という認識がされているようです。でも、リトミックって「どう子どもを動かしたらいいか」というハウツー的な講習会はあるのですが、ダルクローズは何を思ってリトミックという活動を考えたのか?その目的は?意味は?といった理論的な講習、受けたことがなかったのです。と言うか、リトミック講習でも、そこまでやってくれるものが(今まで)なかったのです。だから、何をもってリトミックと言うのか。あまりにも漠然としすぎていて、そこが知りたくて、日本ダルクローズ協会という所へ連絡し、「講師の先生を派遣して下さい」とお願いしました。ダルクローズ協会でも内部で何度か打ち合わせをした結果、東京家政大学の佐藤先生をご推薦いただき、はれて8月24日、研修会を行った訳です。

  当日は最初に、リトミックとは何か?という座学からスタートしました。いやー、勉強になりました。今まで持っていたリトミックに対する疑問が大部分解決しました。私の個人的な感想ですが、今までリトミックって活動だと思っていましたが、あれは「理念」なんですね。音楽を自由に表現するための手段。私にはそう思えました。マイナーコード・メジャーコードをどう自分は感じたか。その感じたものを、どう表現するか。リズム・テンポ・ビートといったものを、どうとらえるか。早いリズムと遅いリズム、同じ曲でも感じが違いますよね?それをどう感じて、どう表現するのか。それがリトミックだと(私は)思いました。例えばソルフュージュにしても「この和音は、ドとミとソの和音」って聞き分ける事ができても、音が重なった和音としての響き、和音の持つ雰囲気と言うか表情。そこを感じ取らず、音の集合体として聞いちゃダメよ、という事ではないか?と個人的には思った次第です。

 昔見た映画「スターウォーズ・エピソード1」で、オビワンケノビが「フォースの力を感じろ!」とマークに囁くシーンがありましたが、これと同じ。リトミックとは体で音楽を感じ取る事。それを自分なりに表現すること、だと思いました。だからリトミックには正解もないし、間違いもない。その人が感じた事、感じたもの、それらのすべてが正しいのだ、という事も学べました。ダルクローズが言っていた「調和」という事の意味も、何となく理解できました。

 以前、鍵盤ハーモニカの練習を私がやっていた時期がありましたが、思い起こせばこのリトミック的な要素をいっぱい取り入れた練習方法、自分なりにやっていたように思います。あの当時はリトミック的、などとは全く思わず「遊び」の要素を取り入れて、楽しく練習できたらいいな、位にしか思っていなかったのですが、今回リトミック講習を受けて見て、「あの時の練習はリトミックの理論を応用していたじゃない!」(俺ってけっこうやるじゃん!)って思った次第です。

近年まれにみる充実した研修ができた事、嬉しく思っています。難しい質問にも真正面から答えて下さった佐藤先生にも御礼申し上げます。
 先生方には2学期早々、研修会の報告を提出してもらい、園内研修に活用していきたいと思っています。この研修、2学期からの保育に活かしていきます。