今回は「幼稚園の終わりまでに育って欲しい10の姿」の中から「協調性」をとりあげます。具体的に言えば「友達とかかわる中で、互いの思いや考え方などを共有し、共通の目的の実現に向けて考えたり、工夫したり、協力したり、という活動を通じて「充実感」(前回の「自立心」でも説明させていただきました)をもってやり遂げるようになる、という事です。

この項目のポイントは「友達とかかわる中で」という事です。昔の話になりますが、平成元年度に幼稚園教育要領が大改訂されました。その時のキーワードが「生きる力」でした。あまりにも目新しい言葉だっただけに、冗談で「サバイバルゲームみたいに無人島でも暮らせる力か?」なんて言っていましたが、違います(笑)

私はこれを「人とのかかわり方」と理解しました。

幼稚園と言う集団だけでなく、家族から地域、学校、同好会、クラブ、会社など、いろいろな「社会」があります。「集団」があります。それぞれの集団には、それぞれの「ルール」があります。なぜそんなルールがあるのか。その集団では、それを守る事で、集団が生活しやすくなるからです。つまり、「生きる力」とは「人とかかわる力」であり、「場の雰囲気を察する能力」を育て、「その場に最もふさわしい行動」とは何かを考え「実行できる」事だと思っています。単に相手にあわせるだけでない。間違っているのなら指摘をする事も重要です。旧園舎の時に、年長が主となって遊んでいる中に年少のお友達が混じっていた事があります。(多分、「だるまさんがころんだ」だったと思います)

年長さんは、小さいお友達も参加できるようにルールを修正して小さいお友達にはハンデを付けてあげ、一緒に楽しんでいました。これも「協調性」です。私が子どもの頃も、「みそっかすルール」というものがありました。年齢に応じて、誰もが楽しく活動できるように、ハンデを付けていたのです。(ただ、自分が勝ちたくて恣意的なルール変更をおこなったりして、それがケンカの原因となる事も多かったのですが…)

 

幼稚園でも0歳・1歳と言った年齢では「人とかかわる事は楽しい」という「応答的な関り」を繰り返す事から始まり、周囲の同じ年齢の子どもに関心を持つ、そして「一緒の目的に向かっての活動」へと移行していきます。だから「気の合った友達と過ごす」事は重要なのです。「友達っていいなあ」「人とかかわる事は楽しいなあ」という体験があるから、会社やご近所で、どうしても「気のあわない人」がいたとしても、うまくやっていけるようになるのです。そのためにも、人とのかかわりを通じ、協調性を学ぶ事は大切だと思っています。旭幼稚園でもこの点は活動の最重要項目であると考え、大切に育むようにしています。